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各店のよもやま話

各店のよもやま話

◆浴衣のウラも見せたがる◆

 浴衣が庶民の着物として着られるようになったのは、江戸時代中期。ブームを起こした要因は、意外にも天保の改革の贅沢禁止令。庶民の絹布着用がご禁制となったことにあります。そして、もう一つの要因が銭湯の普及でした。
 江戸の銭湯は江戸幕府が開府されてまもなく登場し、文化10年(1813)頃で約600軒あったそうです。結構多いように感じますが、当時すでに江戸の人口は100万人。一般家庭には風呂などありませんでしたから、多分、脱衣場なども混雑していたことでしょう。が、ここで目立ちたいのが江戸っ子。「倹約令がなんでい、木綿であればいいんなら」と、浴衣の柄に凝るようになりました。なかには、紋付きの浴衣まであったといいますから、驚きます。
 ともあれ、そうした浴衣の究極の一つが、表裏別々に型付けをし、染め上げた本藍染めの浴衣でした。裾が乱れるたび、腕まくりをするたびにのぞく浴衣の裏。表裏を感じさせない出来ばえは、シャイと目立ちたがりの2面性を持った江戸っ子にはぴったりのファッションだったのです。もしかして江戸っ子が、やたらと啖呵をきったのも、派手なジェスチャーをして浴衣のウラを見せたかったのかもしれませんね。





呉服
●竺仙
●中央区日本橋小舟町2-3
●03(5202)0991


◆初夏の新茶、秋の新茶◆

 「夏も近づく八十八夜」と歌にもあるように、新茶は立春から数えて88日目あたり、だいたい5月初旬に旬を迎えます。古くから「不老長寿の仙薬」「無病息災目出多度の茶」として珍重され、新茶の茶摘みは日本の初夏を代表する風物詩となってきました。江戸時代には、浮世絵にもよく登場し、お弁当持ちで茶摘み見物に訪れた人々なども描かれています。
 ただ、一刻も早く新茶のあのすがすがしい香りを味わいたいというかたにと、当店では3月下旬から静岡産のハウス 栽培の新茶を、4月上旬からは鹿児島県産の”走り“の新茶をお届けしています。そして、一番遅く出る新茶はというと――。
 実は、当店はブラジルのサンパウロ郊外にも茶畑を持っています。ブラジルといえばコーヒーというイメージがありますが、標高の高いサンパウロなどはむしろお茶の栽培に最適な土地。19年前に最初の茶園を開き、現在は計3ヵ所。栽培している木は日本のヤブキタ種で、栽培方法も同じです。
 ブラジルで新茶の摘み取りが行われるのは9月。多くは南米とアメリカで消費されますが、日本にも送られて「ブラジル新茶」の名前で店頭に並びます。




銘茶
●山本山
●中央区日本橋2-5-2
●03(3271)3361
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