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各店のよもやま話

各店のよもやま話

◆海苔は江戸の大発明◆

 海苔を最初に作ったのは中国?それとも韓国?……実は海苔はメイド・イン・ジャパン。それも、東京湾生まれの食べ物です。
  現在、一般的に「海苔」と呼ばれている板状のものは、17世紀頃の江戸に登場しました。ノリは適度の潮の干満がある遠浅の海、しかも栄養分を多量に含んだ川が流れ込む汽水域を好みます。その点、幾本もの川が流れ込む江戸前の海は、ノリの生育に最適だったのです。そして、浅瀬にヒビという竹笹を数本まとめたものを立ててノリの胞子を付着させる養殖技術が開発されてからは、いよいよ江戸湾が一大産地となったのです。
  そればかりではありません。江戸っ子は、そのノリを包丁などで細かく叩いて平らに広げたり、あるいは和紙を作る時のように漉して薄い板状にすることも考えました。今、私たちが海苔巻やおにぎりを食べられるのも、当時の人のアイデアのおかげなのです。
  最初に板海苔を考え付いたのはどんな人、どんな時だったのでしょう。きっと"コロンブスの卵"のようにパッと、いやパリッとひらめいたのですかね。





海苔
●山本海苔店
●中央区日本橋室町1-6-3
●03(3241)0261


◆うちわの役割◆

うちわ(団扇)が、何のために作られたのか、ご存知ですか? もちろん、バタバタとあおいで風を送り、つかのまの暑さしのぎ……いや、それがどうもそうではなさそうなのです。
 奈良・高松塚古墳の壁画に、大きなうちわ状のものを持った女性が描かれています。学問的には円翳(かざし、まるは)、円羽などと呼ばれ、儀式のために高御座についた天皇の顔を隠すために女官が使用したとされています。平安朝になると、これが女性の扇につながっていったとも考えられます。
 ところが、「うちは」という言葉の語源を考えますと、もう一つの意味が生まれてきます。つまり、「うち」「はらう」もの、という意味です。蝿や蚊を打ち払うと辞書にはありますが、悪霊やけがれを打ち払う目的で使われているかとも考えられます。実際、伊勢の伊雑宮の田植祭では、「太一」という文字の書かれた大うちわが振られますし、各地の祭りでも御輿を大うちわであおいで、ワッショイワッショイとやっていますね。
 さて、高松塚古墳の彼女は、あのうちわ(?)をどう使っていたのでしょう。あの絵の情景の次の瞬間、どう動かしたのか。私もちょっと興味があるのです。




うちわ・扇子
●伊場仙
●中央区日本橋小舟町4-1
●03(3664)9261
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