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各店のよもやま話

各店のよもやま話

◆恋人は赤穂浪士◆

 本日は、当店の伝説ともなっている切ない恋のお話をいたしましょう。
 時は元禄15年12月14日。ご存知、赤穂浪士の討ち入りがございました。主君の仇討ちを果たした浪士たちは4カ所の大名屋敷にお預けとなったのですが、そのうち大石内蔵助以下17人が預けられた細川様のお屋敷に、当店の豆腐が届けられました。上野輪王寺の宮、公弁法親王様のお心遣いです。
 当店は、初代玉屋忠兵衛が親王様について京都から江戸へ移ってきたという縁があり、こうしたお使いも珍しいことではなかったのですが、この時届けられた豆腐には、別の思いも込められていました。実は、娘のお静が細川家お預けの赤穂浪士の一人、磯貝十郎左衛門に心を寄せていたのです。
 最初の出会いは、お静が雪道で足をとられ滑りそうになったのを十郎左衛門が助けた時。そして、十郎左衛門が俳人の宝井其角に連れられて来店したことで2人は再会します。その後も十郎左衛門はたびたび来店したようですが、もちろん本当の名前も身分も明かすことはありませんでした。
 赤穂浪士たちのその後は、ご承知のとおりですから、この話に楽しい続きはありません。第一、この恋が片思いだったのか、両思いだったのかも不明。いずれにしても、凛として白いお豆腐のように、おぼろで淡いお話です。

豆富料理
笹乃雪
●台東区根岸2-15-10
(JR鶯谷駅北口から徒歩3分)
●03(3873)1145
挿絵


◆道路事情とお神輿◆

 お祭りといえば、昔も今も「お神輿ワッショイ!」。そう思っておられるかたが多いと思いますが、実は、江戸の祭りに町神輿はありませんでした。当時の祭礼は、京都の祇園祭のように山車を中心としたもので、お神輿は有名な神社に本社神輿がある程度だったのです。ところが明治時代に電化のため街路に電灯線が張り巡らされると、背の高い山車は町に繰り出せなくなりました。町神輿は、山車の代わりとして登場することになったのです。
 同じように、道路事情によって、お神輿が減り続けた時期もあるのです。その発端となったのが、昭和39年の東京オリンピックでした。この祭典を大きな目標にして走り始めた日本の高度成長は、人間が歩きやすい道路より車が走りやすい道路を良しとするものでした。つまり、「お神輿が練り歩くと車の交通のさまたげになる」というのです。今では信じられないでしょうが、こんな理由でお神輿を担がない時期がありました。
 お神輿は決して安い買い物ではありませんが、当店の記録を見ていると、かつては世の中が不況の時には、それを吹き飛ばそうと祭事に力を入れたようです。最後は「神頼み」ということなのかもしれませんね。
 

神輿・太鼓
宮本卯之助商店
●台東区浅草6-1-15
(地下鉄浅草駅から徒歩7分)
●03(3874)4131
挿絵
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