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各店のよもやま話

各店のよもやま話

◆幸せの値段◆

 以下にご紹介するのは、当店の「汁粉」の値段です。比較するものとして東京の公衆浴場の入浴料金(大人/3月の値段)をカッコ内に示しています。比率に注目して見ていってください。

幕末 5文(8文)
明治10年 3銭(1銭5厘)
大正10年 12銭(5銭)
昭和10年 20銭(7銭)
昭和16年 25銭(6銭)
昭和21年 5円(50銭)
昭和23年 10円(4円)
昭和24年 20円(10円)


 入浴料の2〜3倍であった汁粉が昭和21年には10倍になっているのにお気づきだと思います。これは、この時代、砂糖が大変な贅沢品だったことによります。ちなみに、昭和21年3月の標準価格米10kgの価格は19円50銭。汁粉4杯で10kgの米が買えたのです。また、当店は疎開のため店を閉めていて資料がありませんが、戦時下の砂糖がさらに貴重なものだったことはいうまでもありません。
 木下恵介監督が背嚢の中に蜜豆の缶詰を1個隠し持ち、中国大陸を行軍したという話を何かで読んだ記憶がありますが、きっと、そういう兵士はほかにもたくさんおられたことでしょう。最期の時に口に入れたかったもの、それが砂糖の甘みだったのです。  現在、当店の汁粉の値段は550円。平和な時代がなによりです。
挿絵



粟ぜんざい
梅園
●台東区浅草1-31-12
●03(3841)7580


◆桜餅の葉、食べてます?◆

「桜餅を包んでいる葉、あれは取るんですか? 食べるんですか?」
 当店へのお問合せで一番多いのが、この質問です。逆に「どうなさっておられますか?」とお尋ねしますと、「葉は取る」というかたもあれば、「葉も一緒に食べるのが江戸っ子」というかたもおられ、なかには「1枚だけつけて食べる」折衷派も。もちろん、正解はありません。食べ物は、やはりそれぞれのお好みで召し上がるのが何よりだと思いますので。
 この桜餅を包んでいる葉は、オオシマザクラの葉を塩漬けにしたもので、全国で使用される桜餅の葉の約7割が伊豆の松崎町で生産されています。独特の香りは塩漬けにしている過程で葉が発酵してクマリンという芳香物質が出てくるためで、生の葉にあの香りはありません。見た目の楽しさ、美しさだけではなく、香りも利用する――昔の人は偉いものですね。
 そういえば、小沢昭一さんがお見えになったときに、こんな小噺を教えてくださいました。
「ある人、桜餅を皮(葉)ごと食べるを見て、隣の人、旦那、皮をむいて食べた方がいいですよ。あ、そうですかとそのまま川の方を向いて食べた。」
 川を向いて座れば、大川のゆったりとした流れと桜並木。どうぞ、そのまま春の日永をのんびりとお過ごしください。きっと、それが、桜餅の一番おいしい食べ方でしょう。
挿絵



桜餅
長命寺桜もち
●墨田区向島5-1-14
(地下鉄本所吾妻橋駅から徒歩15分)
●03(3622)3266
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