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各店のよもやま話

各店のよもやま話

◆お江戸の力持ち◆

 濁り酒ではなく、現在の日本酒に近 い酒が造られるようになったのは江戸中期でした。特に、上質の酒は池田や伊丹といった上方が産地で、江戸へは主に船で送られていました。上方から江戸へ“下った”酒に対して、関東で造られた酒は“下らない”酒。価値がない物のことを「くだらない」と言うのも、このあたりから来ているようです。当時の江戸では、まだおいしい酒を造る技術が進んでいなかったのです。
 さて、船がお江戸の河岸に着くと人 足たちが酒樽を荷揚げしていくわけで すが、これがちょっとした江戸の名物 でした。威勢のよい掛け声とともに“曲ざし”や“曲持ち”と呼ばれる曲芸 のような持ち方をしてみせるのです。 両手で高々と酒樽を持ち上げて歩く者がいるかと思えば、両足に酒樽を結び付けたうえ、両肩にもかついで……というとんでもない猛者もいたようです。
 浅草の浅草寺境内、本堂の向かって左手に、私どもの先祖が当時の力自慢たちを競わせた力石がまとめて保存されています。なかには60貫(約225kg)などという大石もあって驚かされます。ご参詣の折に、一度ご覧になってみてください。




白酒・清酒金婚・天上味醂
●神田 豊島屋本店
●千代田区猿楽町1-5-1
●03(3293)9111


◆お雛様の右往左往◆

 雛人形の男雛と女雛、さて左右どちらに置けばよかったのかと、迷われたことはありませんか? 現在、一般的には向かって左に男雛、右に女雛を並べます。結婚式の新郎新婦の並び方と同じと覚えていただけば、お忘れにならないでしょう。
 ところが、昔のお雛様を見ると、すべて向かって右に男雛が置かれていますし、京都では現在も右が男雛です。かつては宮中で、このように並んでおられたのです。ところが鎖国が解かれて西洋文化が入ってくると、西洋式に女性が向かって右に並ぶことが多くなりました。決定的となったのは昭和のご大典の際、京都御所の紫宸殿の向かって左に天皇の高御座が、右に皇后の御帳台が置かれたことです。結局、東京の人形業界では、お雛様の並び方を昭和天皇のご真影にならうことにしたわけです。
  そうそう、お内裏様以外のお人形の並べ方もお教えしておきましょう。三人官女は中央が座っている官女、向かって右手に長い柄の付いた酒器を持っている官女を並べます。五人囃子は向かって左から、大きな音のする楽器を持っている順に並べてください。




人形
●吉徳
●台東区浅草橋1-9-14
●03(3863)4419
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