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各店のよもやま話

各店のよもやま話

◆針葉樹の味方です◆

「折詰弁当の折箱は資源の無駄づかい、森林破壊なのでは?」こんな声が聞こえてくることがあります。確かに折箱には木が使われていて、おまけに使い捨て。そう感じられるのも無理はありません。
 当店で使っている折箱は、主にスギとマツが原料で、いずれも国内産です。ただし、折箱に使われる木はすべて間伐材か老齢過熟木。森林を育てるための手入れで除かれる木です。特に、マツ林は手入れをしないと広葉樹が侵食して次第に土地が肥え、育たなくなるのです。
 最近ではブナやナラといった広葉樹が水資源を守るといった理由でもてはやされているだけに、ちょっとマツの肩も持ってやりたくなります。マツは盆栽や白砂青松の風景となって私たちの目を慰めてきた木であるとともに、防風林や防砂林としても長い間、人間の役にたってきた木だったのですから。
 蓋を開けたとたんに香る森の匂いこそ、陶磁器に盛った料理にはないお弁当ならではのおいしさ。折箱は自然と見事に付き合ってきた日本人が生み出した、傑作の一つかもしれないと思うのです。




折詰料理
●日本橋 弁松総本店
●中央区日本橋本町2-4-12
●03(3279)2361


◆めがね嫌いのゲーテ◆

初めてめがねをかける時は誰でも抵抗があるものですが、とことんめがねを嫌っていたのがドイツの文豪ゲーテ(1749〜1832)。学生時代に婚約者のいる女性に恋をして、小説『若きウェルテルの悩み』を発表。のちにワイマール公国の宰相をも務めた人物です。
 彼のめがねは老眼鏡で、モノケルという持ち手が付いた単眼鏡と、手持ちのハサミ型めがねを使っていたようです。つまり、使ったあと、すばやく隠せるめがねを選んだわけです。
 それにしても、よほどめがねをかけた自分の顔が気に入らなかったのでしょう。こんな言葉まで残しています。
 「私はめがねを通して見るたびに、別の人間になっており、それは私には気に入らない。私は私が見たいもの以上のものを見ている。あまりにも鮮明に見える世界は私の精神にはそぐわない」
 めがね屋としては、こういう難しいお客様こそ仕事のし甲斐があるとも言えるのでしょうが。さて、ゲーテ翁のお気に入るようなめがねが作れましたかどうですか……。ゲーテの最後の言葉は「もっと光を!」だったのですが。




メガネ
●村田眼鏡舗
●中央区日本橋室町3-3-3
●03(3241)1913
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