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◆カラーの花火はいつから?◆
江戸時代の浮世絵に描かれた花火の絵を見て、気がつくことはありませんか?
浮世絵の華麗な描写にまどわされて案外見落としてしまうのですが、実は、玉屋や鍵屋に代表される江戸の花火は、光だけのものでした。つまり、江戸の花火に色はついていなかったのです。とはいっても、夜間の照明といえば行灯やロウソクぐらいしかない当時、炎の強弱だけで表現される花火でも、人々にとっては充分に楽しく華やかな夢のようなエンタテインメントだったのです。
では、現在のような色とりどりの花火が造られるようになったのはいつからかというと、 明治維新を迎え、花火に色をつけることができる化学薬品が海外からもたらされてからです。ただし、すぐに総天然色の花火ができたわけではありません。こうした薬品は、調合している間のちょっとした打撃や摩擦でも爆発するという性質をもっていましたので、実験は爆発事故の連続。色花火の開発は、まさしく花火師たちの命がけの研究だったのです。
初めて、公にテクニカラーの花火が打ち上げられたのは、明治22年(1889)2月11日。この日、日本は大日本帝国憲法を発布。フルカラーの花火は、その祝賀行事の夜のメインイベントとして皇居の二重橋から打ち上げられました。今までにない明るさと、しかも色のついた花火に、人々がどよめき、大歓声をあげたはもちろんのこと。
それにしても、明治の東京市民たちが感じた驚きや感激を、フルカラーの花火を見慣れてしまった現代の私たちは、もう味わえないものかもしれませんね。 |
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