「鬼は外、福は内」。皆さんのご家庭では、節分の日に豆まきをなさいますか? 節分は、立春の前日ですから、まさに冬にさよならをして、春を迎える日でもあるわけです。 江戸時代の節分の様子を天保9年(1838)年に刊行された『東都歳事記』で見てみましょうか。こんなことが書いてあります。 【今宵はどの家でも炒り豆をまいて、ヒイラギの枝にイワシの頭を刺して、家の外に出す。炒り豆をまく男を「年男」という。まいた豆は、雷が初めて鳴った日に食べて、雷よけのまじないとする。また、今夜は炒り豆を自分の年齢の数よりも1つ多く食べる。世間では、この夜のことを「年越し」と呼ぶ。】 どうです? おもしろいでしょう? 今年は、江戸の人々にならって年の数プラス1個の豆を食べ、残った豆は雷様が鳴る日までとっておいてはいかがでしょう。
ところで、その節分の豆ですが、せっかくですので、これも江戸から続く老舗の豆菓子屋さんに買い求めに行くというのはいかがでしょう。 場所は麻布十番商店街。「麻布十番駅」から歩くと1〜2分といったところでしょうか。週末ともなれば右手に行列が見えてきます。いえ、それよりも前に、胡麻油のいい匂いがしてくるのですぐにわかります。 「豆源」。慶應元年(1865)の創業。初代から140年余、風味豊かな約90種類の豆菓子を作り続けてきました。
豆菓子の材料は、良質の落花生、大豆、ソラマメ、えんどう豆、アーモンドなどなどで、いずれも煎りたて、作りたてが身上。なかでも「おとぼけ豆」は青海苔、きざみ海苔、海老の3つの磯の風味が楽しめるロングセラー商品です。名前も、ちょっとレトロでいい感じでしょ? どの豆も小袋入りでも売られているので、あれこれ味見しながら、悩む、悩む。いつのまにか童心にかえって、どのお客さまもちょっと上気したにこにこ顔で買い物をしていらっしゃいます。 店のコーナーでは、これまた名物の「塩おかき」も実演・販売していて、香ばしい匂いは、これが源。買わずには帰れない魅力的な香りです。 節分の時期には、そのおいしさに、鬼にまくのが惜しくなる「福豆」も、もちろん販売。どうぞ皆様、よい“年越し”を!