こんにちは、老舗のコンシェルジュです。今日は最近すごい人気の人形町の名店をご紹介しましょう。 人形町といえば、明治座というエンタテインメントの殿堂もあれば、安産の神様・水天宮のお膝元でもある下町情緒が残る町。おいしくてリーズナブルな下町グルメも、お土産になる名物も目移りするほど、あちこちに……。魅力的な町歩きが楽しめるとあって、週末にはたくさんの人々が訪れています。
そんな人形町の交差点近くにひときわ目を引く風情ある木造の建物が、「うぶけや」さん。ショーウインドーを覗き込むと、はさみや小刀、毛抜きなど昔の刃物がびっしりと壁にかけられていて、思わず見入ってしまいます。 そう、ここは打ち刃物の名店。引き戸をカラカラッと開けて、入ってみましょう。
屋号の「うぶけや」は、細かく柔らかなうぶ毛でも、剃れる(包丁・かみそり)、切れる(はさみ)、抜ける(毛抜き)というアピールで、そのとおり、包丁・はさみ・毛抜きが、店の3本柱。 私もこちらの包丁を使っていますが、切れるのなんのって! 馴れるまでは包丁をおろすたびに、まな板にいちいち刃が刺さって困ったほど(それまで切れない包丁を使っていたので、包丁を下ろす力加減が強かったようです)。でも、すいすい切れる包丁のおかげで、料理の出来上がりがきれいになったと評判です(←ちょっと自慢)。
毛抜きも、とっても評判がいいんです。昔はきれいどころのお姉さんがたのご贔屓がすごかったそうですが、最近はOLさんたちが次々に訪れて買っていきます。 天明3年(1783)創業の江戸の老舗が営々と伝えてきた技が、現代の女性のわがままな要求にもしっかり応えて、コスメグッズの名品になっているなんて、なんだかおもしろいですね。 包丁も、はさみも、毛抜きも、無駄のないシンプルな造形は、機能美そのもの。「うぶけや」の刻印も小粋な感じで、いいですよ。
「うちにあるもので切れないのは、毛抜きと、お客様とのご縁だけ」。 ご主人と相談しながら買い求め、研ぎなおしでまた顔を出して……。人形町散歩の際には、包丁を持って(!?)。これから始まる老舗との長いお付き合いも、お買い物の副産物として楽しんでいただけるはずですよ。