創案したのは、両国の薬研堀(現在の東日本橋一丁目)で辛子屋を営んでいた徳右エ門さん。唐辛子にゴマや山椒、陳皮(ちんぴ)、麻の実など香りや口当たりなども考えて加えて売り出すと、これが庶民のファストフードとして急速に江戸中に屋台を増やしていた蕎麦やうどんに合うと大ヒット。江戸っ子たちが「やげん堀のナナイロトンガラシ」と呼びならわす江戸名物となりました。これが現在の「やげん堀 中島商店」の始まりです。
ところで、江戸名物となった七味唐辛子はまたたく間に全国にも広がって、各地で独自の“七味”が生まれました。たとえば長野市の善光寺門前の「八幡屋磯五郎」の七味には生姜(しょうが)が、京都・清水坂の「七味家」の七味には青海苔が入っています。それぞれの土地の気候や食べ物の味に合う材料が選ばれているんですね。 |