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【第十九回目】 |
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にんべん:削りたて「鰹節」の幸せな匂い |
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いらっしゃいませ。老舗のコンシェルジュです。
新緑が目にまぶしい季節になりましたね。 まさに「目には青葉 山郭公(ほととぎす) はつ鰹」……というわけで、今日は鰹節のお店をご紹介しましょう。
え? 「初鰹」から「鰹節」に持っていくなんて強引すぎ? いえいえ、本当にあるんですよ、初鰹の鰹節を売っているお店が。
お店の名前は「にんべん」。元禄12年(1699)に、日本橋で創業。以来、300年を超えて良質の鰹節を日本の家庭に提供し続けている鰹節の老舗です。あらためてご紹介する必要がないほど、おなじみの名前ですよね。 |
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そうそう、どこのご家庭にもある鰹節の「フレッシュパック」も、「にんべん」が考え出したものですが、鰹節の普及のためにあえてそのアイデアを公開したのだとか。 もし、あのアイデアがなかったら、あるいは一社でアイデアを独占していたら、今これだけ一般家庭で鰹節が使われていたかどうか……。 あの昭和の高度成長期、私たち日本人は知らず知らずのうちに昔ながらの生活の文化を手放し、忘れてしまいましたものね。
「にんべん」の本店は創業の場所からは少し移動しましたが、いまも日本橋にあります。三越のライオン像から徒歩1分。知らずに歩いていても店の前にさしかかると、鰹節のいい匂いがしてきますからきっとわかりますよ。 ここで、ふわふわ削りたての鰹節を買うのが、私の日本橋散歩の定番。荷物がかさばるのが難点ですが……でも、断然違うあのおいしさ。 皆さんも、ぜひ一度、本店に足を運んでみてください。 もちろん、本物志向の人には、老舗が丹精こめて作り上げた「本枯鰹節」もずらりと揃っています。 |
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おもしろいものも見つけました。その名も「カツオ解体君」。単なるカツオの縫いぐるみじゃありません。カツオの解剖模型になっていて、はがしたりくっつけたりしながらカツオの骨や身のつき方が勉強できる“食育玩具”。 「にんべん」は6代目が世界初の銀製商品券を考え出すなど革新的なことをしてきたお店ですが、いまは「安心・安全・健康・おいしい」をキーワードに、日本特有の食文化を次世代へつなごうとしているんです。
お店のなかを歩くと、「フレッシュパック」はもちろん、「つゆの素」や「鰹節ふりかけ」、「炊き込みご飯の素」、「一椀の粋」と名づけたフリーズドライのお味噌汁・お吸い物・スープなど、現代人の生活に嬉しい商品がいっぱい。売れる商品を、という意味合いとは別に、お店側のいろいろな工夫で私たち日本人の生活は支えられているんだなとしみじみ思いました。
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おっと、大変! 「初鰹の鰹節」の話を忘れるところでした。 「にんべん」では初鰹が出まわる5月頃から毎年「初鰹の鰹節」の予約をとっています。 丁寧な製造工程を経て、商品が手渡されるのは秋。 初物を待ちこがれたり、職人仕事の仕上がりを楽しみに待ったり-―こういうことも、日本人が大切にしてきた文化ですね。
にんべん ホームページ
http://www.ninben.co.jp/
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