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今月のお品書き
【第六回目】
 
長命寺桜もち:江戸っ子が愛した墨堤名物、「長命寺桜もち」

長命寺桜もち 毎年3月の第1水曜日から、西・東日本の「桜の開花予想」が始まります。まだまだ寒い日もあるけれど、天気予報で桜の話題が出るようになると、気持ちも晴れやかになってくるから不思議ですね。
さて、そこで、花の季節にぴったりのお菓子をご紹介しましょう。今回は迷うことなく「長命寺のさくら餅」がおすすめ。享保2年(1717)の創業、江戸から続く、隅田川河畔の大名物です!
……とは言っても、ご存知ないかたもいらっしゃるでしょうから、まずは場所の説明からいたしましょう。

お店は隅田川の左岸。浅草からだと歩いて30分ほどでしょうか。ぶらりぶらりと土手を上流に向かい、言問橋を過ぎ、桜橋を過ぎたら、もう間もなく。「桜もち」と描かれた黒い暖簾が、風に揺れて招いています。

店内に入ると、正面にはお土産用の販売カウンター。テーブル席と緋もうせんを敷いた床机席が設けられていますから、持ち帰り用を注文したあと、「さくら餅」とお茶で一服するのもおすすめです。のんびりした空気が流れていて、なんともいい気分!
 
長命寺桜もち   ところで、「桜もち」というと、どんなお菓子を想像なさいますか? というのも、関西からいらした方は、ちょっとびっくりなさるかもしれないのです。
関西の桜餅は、道明寺糒(ほしいい)というもち米の餅で餡をくるんで、最後に塩漬けした桜の葉で包んでいますが、こちらの桜もちは、小麦粉で作った皮で漉し餡をくるんだものを桜の葉で包んでいます。関西と関東のお菓子の差はだんだんなくなってきていますが、さくら餅だけは、今も関東風と関西風がまったく違うんです。
 
もちろん、関東風でもお店によっていろいろなのですが、「長命寺のさくら餅」は餡と皮の量のバランス、微妙な甘さの加減が天下一品。そして、なんといっても、3枚の葉をぜいたくに使っているのが特徴です。桜の葉の香りも豊かに、丁寧に丁寧に作られてきたことが、じーんと心に浸みて伝わってきますよ。

桜の季節だけでなく、新緑の時期も、このあたりは川風に吹かれて歩くには最適の散歩コース。お隣にある、家光ゆかりの「長命寺」へのご参拝もお忘れなく。こちらは隅田川七福神の「弁天さま」を祀っているお寺。きっと、ステキなご利益がありますよ。
最後に1つ。桜の時期は、店頭に長蛇の列ができます。お土産は、必ず予約してからお出かけくださいね。では、では、行ってらっしゃいませ〜。
  長命寺桜もち