江戸末期、まだ日本橋に魚河岸があった頃、その市場の中に「樋口屋」という小さな食堂がありました。盛りのよさで評判でしたが、相手は魚河岸の人たち。皆、忙しくて食べきる時間がなく、残していく人が多かったのです。そこで、残った料理を竹皮や経木に包んで持ち帰ってもらったところ、これが大評判になりました。そのうち、最初から持ち帰りを希望する人も現れました。
3代目樋口松次郎は、食堂を折詰弁当専門店にリニューアルし、屋号も「弁当屋の松次郎」を略して「弁松」に変えました。以来、約160年、日本で最初の折詰弁当専門店として江戸の味を守り続けています。
砂糖としょう油をたっぷり使った濃い味付けは、伝統の味です。折箱の中に広がる江戸の粋をぜひ体験してください。
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